大学生

大学3年生の秋、3年間最も親しかった友達と紆余曲折を経て、恋人になった。もちろんそれまで恋愛対象で見ていなかった相手だったので、どうして急にあれほどまで深く恋愛できたのかは分からない。ただ、それまでも人間として魅力的に思っており、尊敬していたため恋愛感情が許されると分かった瞬間

一瞬で恋愛に変わった。それまではその人の恋愛事情を聞いても何も感じていなかった。アホだな〜とすら思っていた。それなのに付き合ってしまうと異性関係が気になって仕方ない。3年間酷いことをしても嫌われなかったのに、嫌われないか軽蔑されないかどうかが気になって仕方ない。その結果、私は彼に自分の気持ちや考えを言えなくなった。嫉妬の感情に脳みそが侵略され、私の嫌いな私になった。常に彼の顔色を伺いながら、ただ同調するだけのつまらない人間になった。そんな感じだったから恋愛関係はすぐに終わった。好きすぎて自分が出せないということを私は初めて経験した。相手の考えていることがここまで分からないことは初めてだった。他人をこれほどまで深く好きになったことも初めてだった。自分の好きな人が好きでもない人間と仕方なく付き合っているという事実が申し訳なくて嫌で自分から別れを切り出した。(相手に自分への気持ちを確認したわけではないが、確実にそうだったと思う)暫くは未練タラタラで辛かった。毎晩のように泣いた。夜が嫌すぎて、できるだけ人に会うようにしていたと思う。時間が経って、今では友達でも恋人でも家族でもない、その人の枠が自分の中にはある。性格の悪い私が心から幸せを願っている数少ない存在だ。私の人生から消えて欲しくない。陰ながら応援していたい。いつか、ふわっと私のことを思い出して、そんな人もいたなぁってなってくれたらいいなって思っている。彼を思い出す度、大学生の時点でここまで思える人に出会えた自分は本当に恵まれているなぁといつも思う。